“日本半導体はまるでゴーンが来る前の日産?
「インテルは最終製品から逆算して利益が出るように工程フローを開発している」という話を、自動車産業を研究している経営学者に話したところ、「そんなの当たり前じゃないか」と一蹴されてしまった。
「例えば、売り値が300万円のセダンを造るなら、原価150万円と決めて、それに収まる技術や部品を使って造るんだよ。売り値100万円の軽自動車だっ
たら、当然、原価は50万円に設定してそれ相応の技術と部品にする。そうやってクルマを造り利益を出すんだよ。ものづくりの基本だよ。半導体って、そんな
こともできていないの? うっそー」と、逆に驚かれてしまった。
さらに、日産自動車のブレーキを作っている技術者の以下の話を思い出した。
「日本半導体って、カルロス・ゴーンが来る前の日産みたいだね。日産は、技術オタクの会社で、過剰技術、過剰品質の
せいで、1990年末に倒産しそうになったんだ。ウチの会社は、日産のブレーキを作っていたんだけれど、たかが足で踏むブレーキパッドに何でこんな精度の
高い加工を要求するんだろう、何でこんな高級な表面処理をさせるんだろう、と思っていた。でも、日産がやれと言うから、やっていた。当然、ものすごく高価
なブレーキパッドになったよ。足の裏で踏むだけのただの板なのにね。多分、日産では、全ての部品がそういう過剰品質だったんじゃないかな? だから造れば造るほど赤字になって倒産しかけたんだよ。
ゴーンが来て何をやったかって? 簡単なことだよ。原価管理部を作ったのさ。例えば、300万円のスカイラインを造るとするだろう。そうしたら、原価管理
部がまず原価を150万円と決めるのさ。そして、どの技術を使うか、部品の品質はどうするかを、全て原価管理部が決める。
最初は、技術者
とケンカになったみたいだよ。『なぜ、俺たちの開発したこの素晴らしい技術を使わないのか』とね。でも、技術オタクの技術者と、ゴーンのどちらが正しかっ
たかと言えば、その後のV字回復を見れば、一目瞭然だろう。日本半導体の最大の問題は、ゴーンがいないことじゃないのかな?」
”